My inmost thoughts
 ~ユジンへ~27


夜の海風に身をさらす…

ふわりと温かい空気が僕の背中を覆った…

少し弱々しくて…

でもやさしくて温かい空気を含んでいる…

君が僕を背中からそっと抱きしめている…
 

「もう何も怖くない、心配する事もない…あなたが居れば…」

僕は背中で君の暖かさを感じていた…

この時間が少しでもゆっくり過ぎていく事を

僕は、まだ望んでいたのだろうか…


朝日の指す部屋

視界のぼやける中で

ユジナ…

君の微笑みを見つけた…

なんだかとても素直にうれしいと思ってしまった…

今日の日が最後なんだ…

「何がしたい、ユジナのかなえたいもの何でもかなえるよ…」

「本当?」

君のうれしそうな顔…

今日は特別な日だから…

ユジナ…

今日の日は僕にとっても

最後の…

特別の日だから…


僕が少し鯛焼きを買っている間に君は

居なくなってしまった…

僕は走って探し回った…

走って…走って…

こんな事が以前もあった…

ひどい吹雪の中、ケーブルもとまってしまった中…

君は外へ飛び出してしまった…


やっと君の笑顔を見つけた時

本当なら笑顔で迎えたかった…

でも…

ユジナ、僕は思わず叱りとばしたね…

「僕がいなかったらどうするんだ!」って…



もう僕は明日から君のそばに居ないのだから…

ユジナ…君は少ししょんぼりしていたね…

君が首につけているポラリスのネックレス…

「この壊れたネックレスのせいね…」

君はつぶやいた…

僕はそのネックレスを治すという理由で

君の首からネックレスをはずした…

もう君と僕との間の

思い出の物はなくしてしまわないと

辛くなるから…

ポラリス…

僕は懐かしむように手の平で転がした…

君の道を照らす為の僕の心の祈りだった…

ユジナ…

君と喧嘩した事後悔してるよ…

君は初めての喧嘩だって楽しそうに言うけど…

こんな喧嘩ももうすぐ出来なくなるんだよ…

ユジナ…

君は他の事を考えて道に迷うなよ…

おっちょこちょいだから物をなくすんだ…

人が良すぎるんだ…

ユジナ…わかってる?

「私にいいところはないの?」

君は膨れて訴えた…

僕は…

「いいところなんてない…」って

その場をはずした…

いいところ…

そんなこと、僕はいっぱい知ってるんだよ…

ユジナ…君の素敵なところ知りすぎているんだよ…



君の寝顔を見つめながら…

涙があふれてきた…

君のそばにずっと居たかった…

君の微笑みをずっとそばで見続けていたかった…

君との思い出を海に投げ込みながら…

もう僕には君を守る力がないんだと思うと…

僕はこの世の果てを

この身で感じる以外なかった…

ユジナ…

ごめんね…

僕は声を凝らしてその場で座り込んでしまった…

ユジナ…

僕は朝が来る前に

君の前から姿を消すよ…

ユジナ…ミアネ…






最初へ  続く

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