My inmost thoughts
~ユジンへ~26
僕達の前に…
彼が悲しい顔をして立っていた…
彼は僕達の事に気づいている…
「二人だけで結婚して…それでいいのか…」
彼の言葉は悲しい叫びにかわっていた…
ユジナが悲しく僕の名を叫びながら
彼に引っ張られてれていく…
僕はどうする事もできない…
「チュンサンガ…」
彼女の涙に濡れる声がこだまする…
僕は彼女を引き戻す力さえなくしてしまったのか…
彼の悲しい瞳が胸に突き刺さる…
これ以上、もう駄目なんだと…
そうささやいている…
彼女のマンションに駆けつけた時、
彼に会った…
「僕達が二人遠くへ行ったら、そのまま行かせてくれる?」
僕の言葉に彼は悲しい目をした…
その目の語る言葉は僕の胸に重く横たわった…
こんな事しても…彼女は幸せにはなれない…と
母に会った…
母は僕にわびながらも
僕達を許さない…
この母が居たから、ユジンと出会った…
そして彼女を愛した…
でも、彼女をあきらめなくてはならなかった…
「あなたのつらい気持ちはわかるわ…」
母の言葉に思わず笑ってしまった。
そしてその感情はすぐどうしようもない怒りに変わった…
母さん…あなたの報われなかった恋のおかげで
僕達が結ばれる事を阻む理由になった…
母さん…あなたが悪いんじゃない…
そんな事はわかっている…
でも…でも…
僕があなたの息子である事がこんなに辛いと思った事はない…
ユジナ…
こんなに君を愛しているのに…
母さん、
この事をあなたがユジンに言うのは絶対に許さない…
彼女の父親を愛する心をあなたの思いで傷つけたくない…
そんなこと絶対にさせない…
別れる…
僕はユジンと別れるから…
母さん…それ以上言わないで…
僕は悔しかった…
愛する母の悲しい恋路の行く末を
僕がこんな形で受け入れなくてはならなかった事を…
今頬を流れる涙は…
僕の心を決して清らかにしてくれるものではないから…
ユジナ…
海を見に行こう…
僕の事を心配して涙を浮かべる君の瞳をみて
抱きしめた…君の心の震えを感じ取る事が出来た…
もうこんな心配なんてすることないんだよ…
ユジナ…
もう、二度と…僕の事心配することなんて
もうすぐなくなるんだから…
海を見に行く…
初めて二人で見に来た夜明けの海…
最初の海…
天使のような微笑…
僕は君のその微笑でやさしくなれた…
でも…
今日が二人にとって最後の海になるんだ…
僕は…
あの時、10年前の高校生の時のように雪の中ではじけたように
君と海岸で戯れた…
時が止まっているんだ…
そう思いたかった…
二人海岸で並んで寝そべって空を見上げた…
「飛行機を見ると遠くへこのまま行ってしまいたい…」
ユジナ…
そう思ってる?
本当にそう思っているの?
このまま二人で遠くへ行きたい?
夏の海でにぎわった海岸で
忘れ去られていったコインを
楽しそうに拾う君…
たくさん拾っていろいろ楽しそうに話す君…
ユジナ…
「たくさん拾って、船でも買って、二人で遠くへ行って、
一生戻ってこない…」
僕はさっき君が言った飛行機の事
本当なのか試してみたくなった…
君はさっきとは違う微笑みで…
「帰ってこないのはだめよ。母さんや友達と会えなくなるのは寂しいもの」
ユジナ…
君の返事で僕は決心したのかもしれない…
もし、君が僕の言うとおり、遠くへ行く事に
やさしくうなづいてくれたら、
僕はこのまま君をさらって遠くへ行っただろう…
ユジナ…
君は優しい人だ…
そんな君だから僕は愛したんだと思う…
そして今、君と別れようと決心した…
君が少し買い物に行く間に
僕は彼…そう
サンヒョクにユジンを迎えに来てくれるように
頼んだ…
僕は去るからと…
無邪気に写真を撮る君に…
砂浜を駆け回る君に…
もう会えなくなるんだ…
季節外れの海の家はどこも寂れている…
僕達は今宵の宿をとった…
「二つ…」
そう言った僕に…
君は「夫婦ですから一つで…」
そういってやさしく僕の腕に腕を絡ませてきた…
小さな宿に二人並んで座ってた…
ユジナ…
初めて二人だけの夜が…
君にとってどんな思いだったんだろう…
僕の心も…
君と同じようになれれば良かった…
ユジナ…
僕がそう呼んだ時…
君のその透き通る瞳が君の心を映していたね…
僕の手は君の髪に触れ、
頬に触れたら、
たまらなくなって君を抱きしめてしまった…
君がそっと瞳を閉じる時…
僕はもうこれ以上君に触れる事はできないと…
ここで君と口づけをする事が
君がもっと辛くなるんだと…
僕はその場を立ってしまった…
僕の背中は君の寂しそうな瞳を感じている…
僕だって…
きっと辛くなるから…
僕の心の涙を
君に気づかれないように…
僕は外で頭を冷やすことにした…
最初へ 続く