My inmost thoughts
~ユジンへ~⑲
ユジナ…
闇の世界…
僕は今、どこに居るのだろう…
僕の意識は遠くの世界に葬られたのだろうか…
昔、こんな感覚に似た経験をした事がある…
遠い昔…
僕の体の全てが覚えている感覚…
痛み…悲しみ…
でもまだそれが何かわからない…
なぜなのか…わからない…
いつまで僕はこの闇を彷徨っているのだろう…
ユジナ…
この言葉だけが頭に残っている…
随分長い間僕の前に伸びる道の前に立っていた…
あたりは闇…
まっすぐ道だけが僕の前を伸びている…
その伸びた道の先にかすかに光が見えている…
あたりは闇なのに、僕の手はいつも暖かい…
手を見るとまだ闇の中…
それなのに…暖かいやさしい手の感触が残っている。
誰かいるの?
僕の問いかけは闇の中に吸い込まれているようだ…
聞こえていない…
この僕の前の道を歩いていけというのだろうか…
かすかな光は今にも消えそうなのに…
周りは闇なのに…
でも…
この手に残るやわらかい感触…
あたたかい感触が
僕を一歩一歩前に進む勇気をくれた…
光は今にも消えてなくなりそうなのに…
ずっと歩いていけた…
そのやさしい手の感触をたよりに…
一本の光が僕の姿を映した時…
僕は静かに目を開いた…
目の前にそのやさしい感触の手をもつ女性がいる…
僕はその女性の眠る頬をその暖かい感触の残る僕の手で
そっと撫でてみた…
ユジナ…
僕の目の前にいる。
10年前の記憶が僕の前の道に照らす光のごとき…
わずかによみがえる…
バスの中で髪の長い少女が僕の肩で眠っている…
ユジナ…
君を思い出せて良かった…
僕は目の前の君を
僕の今せいいっぱいのわずかな力で抱きしめた…