My inmost thoughts
 ~ユジンへ~⑱

「ユジナ…クリスマスプレゼントだよ…」

このテープに僕の記憶が残っているのだろう…

このテープに僕の思いが詰まっているのだろう…




ユジンさん…

僕は…もう君に何もできない…

僕はこのテープを愛しいと思った…


僕の知らない僕の想いの詰まっているものだから。

「初めて…」

君にこの曲を弾いたのかな…

どんな顔して聞いてくれたのか思い出せないけど…

君に送る最後のプレゼントは「初めて」にしたよ…

事務所に君は居なかった…

君に会えるかもしれないというほんの小さな期待はあったけど、

これで良かったのかもしれないという思い…

僕は君の上司にCDを託けた…


君の事を忘れるために今、この国を発とうと思う…



小さな女の子の靴が僕の足元に転がって来た時、

僕はその靴を手にしてその女の子の足に履かせてあげた…




そう…

僕は最後に出会ったあの花嫁衣裳の君にも

靴を履かせてあげたね…

靴…

僕の曇った記憶に少しだけ

光が差し込んだ気がした…

靴…どうしてこの靴に胸が締め付けられる思いが残るのだろう…

曇った記憶の片鱗に


髪の長い少女のぼやけた笑顔が見える…

この風景は…どこで見たのだろう…





「チュンサン…」

君がその場に来るとは思いもよらなくて…

僕は夢だと思ってしまった…



「チュンサンだとわからなくて本当にごめんね…」

僕はなんて応えたらいいのだろう…

涙があふれてくるのは…

ユジンさん…

君にわかってもらえたから?…

それとも…

ユジンさんのチュンサンに対する想いがわかったから…

それとも…

僕がそのチュンサンの気持ちになる事ができなかったから…

そう、あなたの想いの重さと同じくらいの想いの重さを

感じる事が出来ない…

そう思ったから…


ユジンさん…

君が今、チュンサンである僕の方にだけ

僕だけを見つめてくれているのに…

僕にだけ語りかけてくれているのに…


「チュンサンガ…」

何度も、そう呼びかける君に…

何も覚えていない僕はどうしたらいい?

手袋……

会う約束をしていた事…

ピアノを弾いてくれた事…

学校をサボってデートをした事…

手をつないだ事…

何も思い出せない僕に…

君は思い出を語り続けた…


「私は何も忘れていないのに、すべて覚えているのに…」

そういって涙する君に

僕はどうしてあげる事も出来なかった…

君をこの胸に抱きしめながら…

僕はやはり君の元を離れようと思う…


「ユジナ…」

君の事をこう呼んでいたんですね…

僕であって僕でない

チュンサンという君の心の奥深くに眠る初恋の人…

ユジナ…

僕の記憶しない過去に居てくれて

ありがとう…







最初へ  続く

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