My inmost thoughts
 ~ユジンへ~⑬

包丁とまな板のリズミカルな音。

男が結婚して幸せを感じる音。



「ありがとう…」

僕のこの言葉に君は少し困った顔をしたね…

現実…

そう僕達は現実から少しばかり逃げてしまったね…

君の悲しそうな顔…

彼を傷つけた事、

母を、友を傷つけた事…

「君が傷つかない準備はできた?」

ユジンさん…

僕はこう言うしかなかった…

「戻ってきてくれる?」

そういって、君を抱きしめる…
せいいっぱいの僕の気持ち…そして
君にがんばって…と心の中つぶやくだけ…


傷ついた姿で
君は戻ってきてくれた…

僕は君に小さなポラリスをプレゼントした。



僕の元に戻ってから…
笑顔を見せてくれた
でも…

君の彼が病に倒れた事…
君は君自身の懺悔の心に鍵をかけてしまった…

ユジンさん…

僕の事を思ってくれたからですか?

それで君は彼を忘れることは出来たのですか?

違う…

「本当は心配でしょ!行きたいでしょ…」

君は瞳を濡らして首を横に振った

僕は本当は彼のところに行かせたくない…
でも…ユジンさん
あなたの心は…
彼との時間の距離を彷徨っている…
10年という時間の距離…

そうでしょ?…

そんな気持ちのまま僕といっしょに
いられますか?


僕は本当は行かせたくない…

でも…
君の本当の気持ちが痛いほどわかるから…

君の辛い顔を見るくらいなら…
悲しい顔を見るくらいなら…

彼に会ってきて…

僕はこの場所で待っているから…

君が戻ってくるまで待っているから…

もし…
君が戻ってこなくなっても…

僕は君が道に迷わず、時が流れた後なっても
君の選んだ人生の元に必ずたどりつける事を
祈るしかないから…

それが、僕のところでなくても…
祈るしかないから…

ユジンさん…
君を愛しているから…

ずっと待っていた…
微笑んだ君の事を思いながら…

でも…
戻ってこなかったね…
わかっていた事なのに…

「私は謝りません…私の心を持っていったから…
愛しています…」

君の心の温かさを忘れないように
僕はしっかり抱きしめた…





最初へ  続く

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