【短編】joon's dream believer!
      


朝5時半の目覚ましの音が鳴る。私の目覚ましは時間差で
もう一台目覚ましをかけている。
しかし、昨晩の残業のせいか今日はどうも夢の中で二つとも
目覚ましのボタンを押してしまったらしい…

いつもよりなんだか明るい…
うぅ…ん!腕時計を見るとギャー7時!
わぁ…遅刻だ!

横に寝ている私の運命共同体、つまり主人をたたき起こす。
「あなた…あなた!会社遅刻!どうしよう…ごめん今起きてん!!
あなた起きて!…」

主人はなかなか起きない!
私はパジャマを脱ぎ上半身素っ裸で素早く下着をつけ、
ブラウスに袖を通しているが、
こやつ、まだ起きない!
下着にブラウスを引っ掛けた状態で
主人の布団をまくった。
「あなた…!早よ起きて!…」

眠そうに起き上がった主人は…え”…え”えぇぇぇ!

なんで…あなたがここに居る?

「○△×※△?」

なんか言ってる…

主人は?どこに…私はそこらじゅうひっくりかえして主人を探した。
いない…

そこに眠っているのは…
ぺ・ヨンジュン!!だぁ!?
うそだぁ!

私は思わず、下着に簡単に来たブラウスの前がはだけているのに
気づき胸を抑えた…恥ずかしい…でも…えぇっ?
私の胸がない…
いや、もともとないのだが…
私の胸が厚い…男の人みたいだ…
私はお腹に手を持っていった…
「王の字になってる…」
何?えぇ、!

もう一回彼は眠そうに
「○△×※△?」
 
全然わかんねぇ…

えぇ!私、男みたいな言葉使ってる!
私は彼に背中を向け、一番その…なんていうか男の人しか持たないもの
があるかどうか確かめた…

「あるよ…どうしよう…(>_<)」涙が出てきた…

なんで、私が男なの!

とかなんとか頭が混乱していると、そこは自分の家だとずっと
思っていたら…
なんだぁ!これは、どこ?

撮影所!何、ここ?どこ?

みんななんか言ってる…
そして布団とおもっていた寝室は、
打ち合わせしていた部屋…
みんなで雑魚寝状態でスタッフが寝ている…

私の目の前には映画の台本が置かれている。
「外出」と書いてある…うん?外出…

で…そこへ、かのヨンジュンssiが居るのだ!

「ありえねぇ!」
あっ!やっぱり男言葉になってるよ!私…

まわりのスタッフが起きて…
笑顔で私に「アニョンハセヨ!」と言う(これだけはわかった(ーー;))

でもなんか台本を持ってきて「△×■○※#…」
なんか相談を持ってきている…
暗号のようだ…わけわかんない!
香盤表らしきものを持ってきている…というと、このスタッフは
助監督か?

でも全然わかんねぇ!何言ってるの?
で、どうして…私に気をつかってるの?

なんだかおかしい…
そしてヨンジュンssiが私にハグをして、「アニョンハセヨ!ヒヨン!」
と言ってる…
ハグ…本当ならとってもうれしい!この夢よ覚めないで…
ちょっとうっとりした顔をしている私。
でも…?なんで私がヒヨンなんだ!
ヒヨンって確か…お兄ちゃんとか親しみをこめて年上の人に
言う言葉…だったような…
確かに、ヨンジュンssiより私は年上だ!
でも、ヒヨン…?
あっ!そうか私は男なんだ今!
ヨンジュンssiがあのとろけそうな微笑で私を見つめる…

正直うれしいけど…うっとりしている場合ではない!
私は男みたいなんだ…
普通なら気持ち悪いはずだ…

で、私は何者?
5分たってようやく周囲の動きからわかった…

私はどうも映画監督らしい…
えぇ!?なんでなんだ!

私はその部屋の窓を開けた…
町並みを見れば…あぁ…やっぱり。
看板があるが…全然読めないよ…!
ハングル語だらけ…

私は、タイムスリップしたのか?
いや、タイムスリップってのは過去か未来のはず…
ここにいるヨンジュンssiは今「外出」を撮っているはずのヨンジュンssiだ!
じゃ、ワープか?
で、私は男になっているし…主人は居ないし…
私はしばらくわけのわからない事をぶつぶつ言っていたらしい…
スタッフの皆と、ヨンジュンssiが不思議そうな顔をして私を見ている。

恥ずかしいじゃないか。

助監督が絵コンテを持ってきた…
また助監督が何か言ってる…やっぱり暗号だ…
絵コンテを見ると…な、ななんと!
ラブシーンではないか…えぇーーーー!
私が公式の「もうひとつの外出-april snow-」で書いた時も
あれだけ冷や汗たらたらで書いた…
ラブシーン…どうしよう…
撮れないよ…(;_;)

で絵コンテを良く見ると…何?
私が公式で書いたものそのものだった…
「うそでしょ!?」

私は思わず、額の汗をぬぐった…
きっと顔色が悪くなっているかもしれない…
お腹が痛い…
テストの前にトイレに行きたくなる癖があったんだ私…
その様子をじっと見つめる視線があった…ヨンジュンssiが
そのやさしい微笑みで私に近づき…心配そうに私の肩を抱き…
というか、正確には肩に手を置いただけなんだけど…(>_<)
「ケンチャナ?」(これもチョナンカンで聞いたことある!(^_^;))
と聞いてきた…

もう心臓バクバク…思わず、私は声が1オクターブ裏返って、
「ケケケンチャナヨウ」っと言うのが関の山だった。

そこへ、走りこんでくる男が居た!

「えらい!遅れてすみません!」
関西弁だ!
うれしい…日本語しゃべれる人が居た!それも私と同じ関西弁!

「あんた?日本人?」
私は思わず、聞いた。
「いえ!僕、在日韓国人です!大阪の今里に住んで
て、語学留学してこの前、通訳の資格とったばっかりですわ!よろしく
お願いします!」
ぺこりと頭を垂れる。少し主人の友人似ている。…顔がでかい!
在日韓国人なのに…しゃべれなかったのか…まぁいいか!
良かった。これで何言ってるかわかる!
どうも私専用の通訳らしい。
なんで私がわざわざ韓国で監督をやっているんだろうか…
っていうかなんで私が監督ができるの?
やってみたいと思ったことはあるけど…能力なんてないのに…
まして、この「外出」はホ・ジノ監督の作品のはず…
夢を見ているんだ…
ほっぺを抓った…痛くない…

えぇい!いいや!私が撮ちゃえ!
夢なんだ!夢!
でも…ラブシーンなんだ…
「いきなりかよ…」
私はどきどきしている。

ソン・イェジエンちゃんが入ってきた。
私に向かって「アニョンハセヨ」と言ってにっこり微笑む。
かわいい…同性が見てもかわいいと思うもんなぁ…
おっと、私は今は男なんだ!

いきなりヨンジュンssiが上半身、裸になっている。

イェジエンちゃんもそれなりの準備をしてバスローブを
つけてきた…

えぇ…いきなり!


私の書いたラブシーンはちょっとごまかしたからなぁ…
助監督が何か言ってる。
通訳君が、
「監督!カメリハどうしますか?って言ってはります!」
私は意を決した。

「じゃ、ヨンジュンssiとイェジエンssiの立ち位置はこのあたり、
セットのこの部分はずしてください!カメラさん!いいですか?
照明はこの位置からヨンジュンssiの背中から斜めに、絶対に
イエジェンssiの顔にかぶらせないでください。」

おぉ…監督らしいじゃない…私それなりになりきってる(^^ゞ

通訳君が一生懸命、通訳してくれている。

助監督のカメラテストの号令がかかる。
OK!

そこで、ヨンジュンssiが私に何か言いに来た…
何か言ってる…悲しいかなわからない…
通訳君にすがる目をするヨンジュンssi。
「ヨンジュンssiはラブシーンの前に、少しトレーニングをしたいと
言っているのですが…」
「トレーニング?なんで?」
「背中を映すならきれいな姿で写りたいと…」

ははぁん!確か「スキャンダル」の時もベッドシーンの前に
ダンベルをあげて、相手役の女優さんがびっくりしてたなんて、
なんかの雑誌で読んだことあるな…

私は「いいですよ!」っと快諾した。
ヨンジュンssiの背中を目の前にして、
益々ドキドキした…あの写真集の写真のようだわ…
ちょっと、うっとりとした目をしている自分に思わず突っ込みを入れた。
私は今、男…なんだ。

さぁいよいよ本番。
ベッドに二人入って、ヨンジュンssiがイェジエンssiの上に
なっている。
スタンバイOK、ドキドキして心臓が口から出そうだ!

カチンコの音(だと思う)とともにカメラが回る。
いいなぁ…うらやましいって思っているのは
この監督である私の内面の声である。
こんなこと死んでも言えない… 
でも、素敵って思ってしまった。(>_<)

でも…私は非情にもその時本当の監督としての本能が
顔を覗かせた。
私は思わず、「カット!」
っと叫んだ!

ヨンジュンssiの背中はいいけど…これではラブシーンじゃない!
ラブシーンはやはり女優さんが美しくうつらなければならないんだ!
女優さんが輝いて、初めて美しいラブシーンと言えるはずだ!
私のちょっとばかりかじった映像の奥義みたいなのがふつふつと
出てきた…

でも…ヨンジュンssiはスターなんだよな!
事務所のBOFの社長怒るかな…IMXの社長、泣くかな…(>_<)
こんなえらそうな事言ったら…
でも、本当にいい映画をとるなら、ヨンジュンssiばかりがめだっちゃ…駄目!

通訳君をよんで、このことを訳してくれるように懇願した。

怒るだろうなぁ…って思っていたら…
ヨンジュンssiが私のほうにやってきて微笑んだ。
「××○△※…」
やっぱりわからん…でも今度は長い…すごく饒舌に話している。
ベルベットボイスってカジョクの皆さんがよく言うけど…
この声かぁ…
生で聞くと…ええ声やなぁ…

通訳君が
「ヨンジュンssiも同感だと言ってますよ!皆、僕に遠慮ばかりして
いい映画を撮らないと駄目なのに…て、監督に全て任せるって…」

私の思いが通じた…
私は半べそかきそうだったから…

私は即座に絵コンテを書き直した。
きれいなラブシーンを撮るために。
公式の書き込みの時のようにもう恥ずかしくないぞ!
ふたりの愛のシーンを描くんだ!
手だけのラブシーン。イェジエンssiのうるうるした瞳と、
眼鏡をはずしたヨンジュンssiのやさしい微笑み…
ライトを落として、殆どシルエットで全体のカット、
そしてヨンジュンssiの逞しい肩ごしからのイェジエンssiの
涙に濡れた美しい表情をぼんやり光らせる…

うーん!最高!
おぉ!私、今、恥ずかしくない!!
真剣じゃん!
監督っぽい!

こっそり心の中で私って男前!なーんて思った(^_^;)

「カーット!」
私の叫び声。
お疲れ様…
私はなんだかホッとして目まいがした…

ふらついて、私が真横に倒れそうになった時、
がっしりとした腕に支えられた。
「ケンチャナ?ヒヨン?」
あぁ…私、ヨンジュンssiの腕の中なんだ…
目があけられないよ…
「ケンチャナ、ケンチャナ…」
っと周りの声がこだまする。

私、倒れてるの?

えっ!ラブシーンの撮影で頭に血が上って、
血圧あがったのかな?
体がふわふわするよ…
ヨンジュンssiと至近距離わずか10センチといったところだろうか…

「うれしいなぁ…」
これも男である私の心の声…
ヨンジュンssiの側にいるんだぁ…

…………

「おーい!お前何言うてんねん!おい!起きてるのか?」
私はハッと起き上がった。

私はパジャマを着ている。
思わず胸を押さえた…小ぶりの胸…あった(>_<)
私はいきなり現実に引き戻された。
女に戻ってる…
あぁ…夢だったんだぁ…(;_;)

私の横には主人が寝癖の頭で眼鏡をかけ、さえない顔。

「おい!何時や思ってんねん5時やで!5時!」

私は今すぐ至近距離にヨンジュンssiがいたぬくもりが
体に残っいるような…へんてこな気持ち…

「へぇ…」私はぼっとした返事を返す。
まだ夢現なのである。

「お前、長いこと寝言しゃべってたなぁ…30分くらいしゃべってたで…」
主人は呆れている。

「寝言、言ってた?」

えっ!寝言…なんか変な事言ったのじゃないか…
「私、なんか言ってた?」
主人におそるおそる聞いてみると…

「あぁ言うとった!なんか、カット、とかケンチャナとか…ケンチャナって
なんやあの冬のソナタで出てるペ様が言うてる言葉か?」

ペ様…? ヨン様と言ってくれ。

私は…「他になんか言ってなかった?」

「なんかわからんけど、なんか一生懸命説明してたみたいやな!
誰と話しててん?え?」

あぁ。ラブシーンの撮りの時だ…冷汗が出てきた…

「まあ、ええわ!俺あと1時間あるから寝るでぇ」

と言って主人はまた眠ってしまった。

私は布団の上にしばらく正座で座っていた…
ヨンジュンssiとしゃべった事…
ハグされた事…
ヒヨンと親しみを込めて呼ばれた事…
すべて男としての私…
頭の中がぐるぐる回る。

「夢かぁ…」
なんだかがっくり疲れてしまった。
でも…こんな夢ならもう一度見てみたいなぁ…
今度は男じゃなくて、20代の若い女の子で…
無理かなぁ…

ふっとため息と苦笑いの明け方だった…

……終わり
(up Oct. 15, 2006)


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