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1999年9月5日、大分市賀来神社の大名行列を見に行きました。by Mie
今夕は賀来神社のお祭りに行きました。
夕方は大雨がザーザーと降ったのですが、運良く上がって、神社への道は露天が店開きをして、たくさんのお参りの人々を迎えています。
   

傘を手にした親子連れ、友達同士といった人々で賑わっています。賀来神社は我が家から車で10分ほどの距離です。いつもは静かな境内も露天商が並び、盆栽展も開かれていました。この賀来地域の皆さんの作品だそうです。見事な松の盆栽が目を引きます。
    

近くの郵便局も今日はお祝いの張り紙をしています。街角を、江戸時代の方々が歩いています。そうです。今夜は大名行列があるのです。ここは、大分市の西部、大分川と賀来川の合流点にある賀来神社、毎年9月は「賀来の市」で有名なお祭りです。今年は6年に一度の「賀来の大名行列」が行われる年に当たっています。「卯酉(うとり)の神事」とも言われています。
   

その起源は平安の時代にさかのぼるといわれ、明治維新後、旧府内藩主から大名道具が寄進され大名行列の形式が出来あがったと言われています。行列のある年は、9月1日から11日までが祭礼の期間になります。通常は7日までです。そして初日の1日、中日の5日、最終日の11日と3回行列が組まれます。今日は中日の行列です。賀来神社の一の鳥居から行列は出発をします。
   

お祭りの総代さんが先頭にたち、各地域の名前を書いた提灯を掲げて行列がすすみます。代表の皆さんは陣笠に夏羽織と袴姿です。
沿道の両側にはギッシリト観客が詰めています。「おじいさん、頑張って歩いて下さいよ」と声をかける奥さん、「おじさん、かっこいいね」と声援を送る近所のお子さんらしい人、とても和やかなお祭り見物です。
私もそんな人に混じってデジタルカメラを手に見学をしました。
    

一段と大きな歓声が上がりました。総大名の登場です。お化粧をして、キラキラとした衣装をつけ、緋扇を持ったかわいい総大名と後見のお母さまです。二人のかわいい稚児さんを従えています。大名行列は、少し歩いては休憩です。蒸し暑い中、衣装をつけた子供さんは、椅子をもらってほっと寛いでいます。
こちらは、また別の地域の大名行列の総大名です。6-7地域の行列、総勢210人とのことです。
子供の奴さんです。紺の着流しの裾をはしょって、襟に巻いた手ぬぐいがいなせです。重い飾り槍を掲げてリズムを取りながらの行列です。
こちらは、赤い陣笠を被り、弓を持ったかわいい子供の奴さんです。
大人の奴さんは重い大道具をかついでいます。途中で担ぎ手が交代します。その時の勇壮なふりが大人気で大きな拍手がおこります。
   

大人が担いでいる毛槍の色々です。高く差し上げ、くるりと回したりしながら、行列は勇壮に進んで行きます。持ち手の交代では、掛け声と共に、この大きな毛槍を投げます。うまく抱きとめると観衆から大きな拍手が起こります。
隣り合って見ていた方が、大きな毛槍を持った青年に声を掛けました。「その槍は重いの?」「12-3キロはあるよ、、、」と汗だくになりながら、返事が返ってきました。
行列は絶えず、足も手も踊っているように難しい所作を繰り返しながら、ゆるゆると進みます。
   

顔も背中も汗でぐっしょりです。右は子供の奴さんです。とてもリズミカルにわらじ履きの足を躍らせています。子供たちは手に手に、槍、鉄砲、弓を持っています。中でも「アリャサ、コリャサ」の掛け声ですすみ、立て傘という小道具を鳥居越しに高く投げ、すばやく鳥居をくぐって受け取る鮮やかな演技の子供は人気の的です。
およそ、一キロほどの道を2時間ほどかけてゆっくりと進んだ大名行列が賀来神社前の鳥居を進んでいます。それに従って沿道の行列も神社の方に動いてきました。
時折小雨がぱらつく為、提灯にはビニールが被せてあります。
小さな子供はお母さんに負んぶされたり、お父さんの肩車だったり、うれしいお祭り風景です。
今度、大名行列が見られるのは6年後です。この子たちも大きくなっていますね。
私たちが前回大名行列を見たのは、今から4回前の24年前でした。息子が小学生になったばかりの頃だったなと、懐かしく思い出しました。
   

やがて、大分川の河原で花火大会が始まりました。パンパンと菊の花が夜空に咲きます。乱れ菊が流れます。美しい花火にたくさんの人の歓声が上がりました。「賀来の市」と書かれたのぼりのはためく、賀来の町は光と歓声に包まれました。
6年後に行われる大名行列の時にもまた元気に見に来れるとうれしいなと思いました。
6年に一度しか見ることの出来ない大名行列ですが、その様子はこの賀来神社に通じる小野鶴橋に刻み込まれています。大分川にかかるこの橋の向こうには豊後富士と呼ばれる由布岳がくっきりと見えています。
   

橋の欄干には大名行列の様子が克明に描かれています。私は度々この橋を車でわたりますが、これからはいつも今日のかわいかった総大名や、上手に立て傘を投げた子供の奴さんなどの姿を思い出すことでしょう。
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