2020年3月11日:映画「風の電話」  
今日は東日本大震災9年目に当たる日です。今、日本が世界が新型コロナウイルス感染拡大で大変なことになっているので、大勢が集まることなど自粛になっています。で、慰霊祭も取りやめ、縮小が多いです。
大分のシネマ5には、「風の電話」の映画がかかっている、私も震災後の2013年に訪れたことから、いつも気になっているベルガーディア鯨山にある「風の電話」をテーマにした映画です。
そこを舞台にした映画が作られ、「第70回ベルリン国際映画祭審査員賞」を受賞したとの報に、なお見たいと思いました。早くから「風の電話」の存在に共感を持ってくれていた友人たちと、見に行きました。奇しくも3.11に見ることが出来てとても感慨深いものになりました。 

映画の始まる前にシネマ5の田井さんにお会いしました。「開始のこの微妙な時間は?終わると震災の時間ですか?」
「はい、そうなるようにこの開始時間を設定していますよ」とのお返事を頂きました。
2013年7月26日、友の会から東日本大震災の支援に是非行きたいと岩手を訪れることになりました。震災以来、九州部では福島の保育園にお野菜を送っていましたのでその福島県南相馬市の保育園を訪れたいと出かけました。その保育園の入り口に立っていたのは、放射能の線量計です。びっくりしました、元気な子ともたち、向き合われる保育士さんたちに迎えられました。会えてうれしかったです。
遠くにクレーンが何本も立っているのが見えました。福島原発でした。まだまだ問題は大きいですね。 
7月27日は、釜石市の仮設住宅の集会場など数か所を訪問、28日は、幼稚園など3か所を訪問、そして、どこか行きたい所があればと声をかけて下さったので 「良かったら、”ベルガーディア鯨山”の”風の電話”に連れて行ってほしいとお願いしました。幸い、園主の佐々木様ご夫妻が居て下さって、施設など丁寧に説明をして下さって、風の電話のボックスにも立つことが出来ました。しかし、私は何故か、受話器は握れませんでした。映画のハルも座ったベンチに座って風の音をしばらく聞いる私(右)です。隣は四国部の史さんです。 電話ボックスはその後、風雪のために壊れ、今は二代目が全国からの支援で2018年に建て変えられました。

佐々木格氏、佑子様より頂いた今年の年賀状です。
映画を見て外へ出て少し歩いて2~3分、大きなサイレンが鳴り響きました。時計を見ると14時46分、震災の発生した時刻です。思わず立ち止まり頭を垂れました。

とにかくどこかに座って、ゆっくり感想なども話したい、と、「アフタヌーンティ」に入りました。3人で夫々にお茶を変えて、「アフタヌーンセット」です。

友の会の高橋さんと。 
そしてお友達の久美子さんです。紅茶のお店をしているので、いろいろとお茶の話も聞きました。 
テーブルを飾る不思議な花、デンドロニュームの花ですね。 
紅茶は左からダージリン、チャイ、アフタヌーンブレンドです。スコーンがおいしかったです。3人で、ポットのお茶を交換して飲みました。 
時間と共に紅茶の色も味も変わっていく。生き物ですね。

私が訪れた時から6年が過ぎている被災地と風の電話 でしたが、原発は未だ、最終点がまるで見つけられない状態、被災地も整地され、土地のかさ上げがされて新しい家が建っているが、以前の活気、温かみなど醸し出すまでにはまだまだ年月がかかるだろうと思いました。器だけ出来ても人の生活は本物になるには長い長い年月がかかる。いつまでも忘れないで応援したいと思いました。
帰途、春霞の中に由布岳が美しい姿を見せていました。3年前にはこの由布岳の麓の街由布院も、山を越えた熊本県でも大きな地震がありました。私も一晩は着替えをしないで防災リュックを枕元において寝ました。自然災害は私たちの生活のあり様も大きく影響しています。自然との共生をもっともっと考えた暮らしを模索しないといけないとつくづく思います。

コロナウイルス蔓延の中、映画をみるのはどうかなと思いましたが万全の注意を払って、見ることが出来ました。そして、多くのことを感じ学ぶことが出来ました。良かったと思います。 
受賞の喜びの言葉
  <諏訪敦彦監督>
東京で受賞の知らせを聞き、とても感動しています。この日本のささやかな祈りを受け止めてくださった審査員の皆さんに感謝します。
「風の電話」は現実に存在しています。きっと今日も、傷ついた誰かが訪れ、亡くなった大切な人に話しかけていることでしょう。我々を信頼し、この映画の制作を支援していただいた「風の電話」の設置者である佐々木格(ささきいたる)さんに感謝を送りたいと思います。
そして、何よりも、このベルリンの地での初めての上映後、鳴り止まぬ拍手と励ましの声で、まるで家族のようにこの映画が暖かく迎えられた瞬間を私は忘れることができません。映画は観客のものです。ハルとともに旅をしてくれたベルリンの人たち、世界中の傷ついた若者たちに、感謝とともにこの賞をお送りしたいと思います。
 <モトーラ世理奈>
嬉しいです。
すごく嬉しいです。
諏訪監督に出逢えて、私にとって素敵なことがたくさんです。諏訪監督、ありがとうございます。そして、おめでとうございます。
ベルリン映画祭のプレミア上映で、観客の皆さんが、風の電話に流れている風を、しっかりと感じてくれたんだと実感してとても感動しました。
私が演じた、ハルにこれからも世界中の人々の、心の中で旅をし続けてほしいと願っています。