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2000年8月10日:龍野薄口醤油資料館見学、by Mie
私が子どもの頃に龍野醤油(株)ヒガシマル醤油の本社だった赤煉瓦の建物が今は資料館となり、龍野醤油共同組合合名各社の保管していた資料を展示しています。
入館料10円也を払って資料館に入りますと、昔使われていた大きな醤油樽から作られた面白いベンチが置かれているロビーがあります。
二階に上がる階段は、菊の紋章が付いています。これは、今から400年ほど前、宮中から菊の紋章を使う許可を得て、菊一醤油という屋号をつけた記念です。
金箔もはげた永年に渡って使われた、菊一醤油の大きな看板です。

これは醤油の材料です。左から大豆、麦、米、塩、麹などです。龍野の醤油は薄口醤油で米を使うのが特徴です。
地下水を汲んでいた井戸です。

龍野を流れる揖保川の水は全国でもまれにみる鉄分の少ない軟水です。この良質の水が色の淡い、味の良いしかも香りの高い薄口醤油を作る上で欠かせません。龍野地方が薄口醤油の名醸造地となった大きな理由の一つです。
原料処理場です。

麹菌が繁殖しやすいように大豆をたき、小麦を炒り、米は蒸して甘酒にします。薄口醤油の大きな特色は米を使うことです。

また塩は良質の揖保川の地下水で溶かします。
浅井丸

揖保川を挟んで醤油工場があります。橋の無かった時代はこの浅井丸という船で材料を運んでいたそうです。

左は混ぜ合わせた大豆、小麦に麹菌を植え付けて醤油麹を作る麹室です。これに塩水を混ぜて大きな桶に入れ1年以上もかけて発行熟成させます。これを諸味といいます。この諸味に甘酒を加えて布袋に入れて絞りますと薄口醤油が出来ました。大きな樽やてこの原理を応用した圧搾機(右の写真)が展示してあります。
 
ヒガシマルの暖簾をかけたこの帳場は明治時代の醤油蔵の帳場を再現してあります。
私の子どもの頃によく馴染んだラベルの貼られた醤油樽が展示してありました。
こちらは卓上に置かれる醤油差しのコレクションです。
 
有名な料理人の北大路魯山人も料理には薄口醤油が欠かせないと書いています。
右は薄口醤油で有名なヒガシマル醤油の看板です。
展示を見終えてロビーに戻ってきました。ロビーの窓はアールデコ調の丸い大きな窓になっています。その窓越しに、向かいの醤油工場の黒い瓦屋根と白い壁が美しく見えています。

これは私の原風景として醤油の香りとともに、何かにつけて思い出す懐かしい風景です。